今年をふり返って
ご無沙汰しております。もう、今年も明日で終わりですね。
お菓子の仕事を長年してきましたが、今年のクリスマスシーズンほど、違和感のある年は初めてでした。
3月の震災、そして原発事故。ライフラインもガソリンも物資も普通の状態ではなく、余震もひどかった3、4月。
とても生徒さんをお呼び出来る状況ではなく、退会する方も相次ぎましたし、放射能による食材の問題をどうするか、先がまったく見えなくなりました。
お菓子の勉強や修業をしていた大阪の製菓専門学校時代の友人を頼って、大阪で新たに生きようと避難しました。
しかし6、7月と、やはり福島に帰るべきではないかと毎日悩み、8、9月は福島で教室を再開もしましたが、継続は断念しました。
今はその専門学校に再就職し、本当にありがたいことにあくまでも福島に帰れる時は帰れるような形で雇っていただいています。
今月は、どうしても去年の12月を思い出しました。
いつも12月は大変で、去年も大変だったけど、今思えばしあわせだった。
毎日のように生徒さんが教室を訪れて、お菓子を作りながらにぎやかで楽しいおしゃべり。
「今年一年ありがとうございました。どうぞよいお年を。来年もよろしくお願いいたします♪」
そんな言葉を生徒さんと交わしてた。
普通の2011年がやってきて、春が来て夏が来て、秋が来てまたクリスマスが来て・・・
ずっと福島でお菓子教室をやっていくものだと思ってた。あの日までは。
これを書きながら、また涙が出て仕方ない。
夏に生徒さんにお会い出来たのは、本当に嬉しかった。
でも、お会い出来てない生徒さんもたくさんいる。
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1月にお菓子教室をしたくて、そのように予告もしていたのですが、諦めました。すみません。
お声をかけても参加してくださる生徒さんは多くないでしょう。
それはとても悲しいけれど、生徒さんのせいではなく、仕方のないことです。
11月に、原発事故後の私たちの生き方を考える会を企画し、そのお知らせをしましたが、ほとんどの方からお返事はありませんでした。
もうこのことに触れてほしくない、考えたくない、余計なお世話だというお気持ちもわかります。
5月以降の福島に、私は住み続けていない。
福島を離れた私には福島を考える資格がないのかなとも思ったし、
このこととお菓子教室を一緒にしてほしくない、というご意見も春頃は実際あったし、それも私もさんざん考えました。
でも、今まで地元の材料を中心に使ってきたのに、それをどうする?
農家の方と、小さいお子さんのお母さんが一緒になるグループレッスンで、どんな話をする?
放射能の話を避けて、今の福島でどんな「食」を教える?
どんな食の話題を共有する?
私はそんな疑問を持つ自分を騙して、つまりそれは生徒さんを騙して、うわべだけ楽しいお菓子教室を開くことは出来ないと思いました。
長年大切にしてきた教室だからこそ、どちらにもいい顔をしてレッスンは出来ない。そう思っています。
『どちらにも』・・・この表現も悲しいことですが、事故後、違う立場や考えの人に溝が出来てしまいましたよね。
どうすればこの溝を埋められるのでしょうか。
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やむを得ずとはいえ、自ら選んで行った大阪ですが、震災や原発事故に関心の薄い土地になじめず、
福島に帰りたくて毎日メソメソしていました。
でも今、福島で生計を立てられない私は、やはりお世話になっている今の職場でがんばるしかありません。腹をくくるしかない。
さいわい、職場には理解のある方も励ましてくださる方もいます。
時々しか帰れないけど福島でつながれる方と相談して、関西で福島のために出来ることを考えていきますね。
今年お世話になった方々、本当にありがとうございました。
お菓子のことがほとんど書けないブログになってしまったので、来年からいったんこちらは終了して、違うブログを始めたいと思っています。
よかったら、思い出した時にまた覗いてみてください。
皆さまの心身の健康をこれほど祈った年はありません。来年以降も、ずっと祈り続けます。
せめて年末年始、心穏やかに暖かく過ごせますように。
この言葉を言うのにためらいはありますが、どうぞよいお年をお迎えくださいませ。
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