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“Cache Cache”が 閉店してしまいました

友人がオーナーだった、文化通りのカフェ“カシュカシュ”が、先月25日に閉店しました。

突然の閉店で、びっくりされた方も多かったのではないでしょうか。

教室の生徒さんの中にも、カシュカシュのファンは多かったので、みなさんがっかりなさっていました・・・

カシュカシュはよく一人でフラッと行っては、カウンターでオーナーのYさんやスタッフの方、他のお客さんとおしゃべりしたりして、

楽しい時間を過ごすことの出来る、貴重な、大好きなお店でした。

昨年の秋、カシュカシュ一周年イベント(10月28日の記事)として、お店でタルト・デリシューのお菓子を出させていただいたこともありましたし、

身内の店のように親しい気持ちでいました。

ここ何ヶ月かYさんの体調不良が続いていて、心配したり、おせっかいながら叱咤激励したりしていたのですが、

考えに考えての苦渋の決断だったと思います。

私も約一年前に店を閉めており、彼の気持ちは痛いほどわかる気がします。

小さい飲食店の経営をしていく、という同じ立場のYさんとは、理想や信念や、抱える問題や悩みなど、よくいろいろ話をしたものでした。

私はこの一年、タルト・デリシューの店を閉めてしまったことを 『本当にこれでよかったのだろうか?』とずっと考えてきました。

自分のすべてをかけて守ってきた店とお客様を手放した、自分の力不足さ。

後悔か、未練か。 その都度、

『こうするしかなかった。あのまま働いていたら死んでた』

と思っては、『そうまでしてなぜ生きたがっているんだろう?』という問いが湧き上がってくる。

開店して4年目の年、一年の間に2度も店を移転しなくてはならない試練があり、私は大きなリスクを背負いました。

それから、死んでも店を守る覚悟で3年、がむしゃらに闘ってきました。

スタッフたちもほんとによくがんばっていました。私一人ではとてもあそこまでは出来なかった。

トータルで7年半の経営でしたが、その間にたくさんの苦しいことがあり、そしてもちろんうれしいこともあり、悲喜こもごもという濃い歳月だったと思います。

店をやっていた頃、休みはほとんどなく、仕事が終わるとコンビニしか開いてない。

店に全力をつぎ込んで、うちに帰って台所に立つ気力などなく、夕飯はコンビニのものか冷凍食品。

ご飯は実家の母が炊いてくれて差し入れしてくれたり(ありがたい)、パックのものを食べたり・・・

移転後は特に忙しく、炊飯器を使ったのが2年前か3年前か、それすらもう記憶がありませんでした。

普通の人間らしい暮らしがしたかった。

6月に閉店して7月に教室を引越しし、やっとご飯を炊くことが出来たのはちょうど昨年の今頃で、

真夏の晴天のお昼の台所で、炊飯器のふたを開けて炊き上がったご飯を見た時には涙がこぼれました。

今は、ご飯も味噌汁も作れる時間が持てるようになりましたが、『それが何やねん?

これが店をやめてまで求めていたことなのか?』とも思います。

店をやめても教室があるじゃない、という考えもあるかもしれませんが、例えば子どもが二人いて、二人目が死んでしまったとします。

長女(長男)がいるからいい、とは思えないですよね、きっと。

しかしそれは自分が決めたこと。

今、教室を通してお菓子の仕事を続けていられるのは本当にありがたいことです。

生徒さんには心から感謝しています!

カフェ阿吽さんの存在も、つくづくありがたいです。

長く慣れ親しんだ環境を変えることや、愛着のあるものを手放すことに、痛みを覚えない人はいないと思います。

店を続けたかった。でも様々な理由があって、出来ませんでした。

店を出す準備段階から含めて、この10年、30年分くらい精一杯がんばったし、

そしてこれからの人生のために、と葛藤に葛藤を重ねて出した結論でした。

私はいい加減、自分の選んだ答えに責任を持たなくては。

何ていじいじした内容になってしまったんでしょう、すみません。

でもいつか書かないと、前に進めないような気がしていました。

カシュカシュのYさんもいろんな思いがあるようです。閉店してから立ち上げたブログ(→

)に、店への愛情がひしひしと感じられます。

どうぞご覧になってみてくださいね。

Yさん、ほんとにお疲れ様! 素敵なお店をありがとう。

しばらくゆっくり身体を休めてね。落ち着くと、これでよかったのか、もっと出来たのではないか?とまた逡巡することもあるかもしれない。

でも、カシュカシュを愛するたくさんの心やさしいお客様がいたことが、すばらしい財産ですよね。

これからの人生、応援しています!

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日記・コラム・つぶやき」カテゴリの記事

コメント

カシュカシュさん、初めて訪れた日が閉店一月後でした。これほどのショックはありません。ただ、パティスリー ルポさんがあるとか・・・。

タルト・デリシューさん、お店と教室の同時開業、身体を壊します。しかも、あれほどお客に気を使っていたら余計にです。無責任な発言かもしれませんが、人って「気」が満ちてくると動き出したくなります。その時、必ず葛藤が起ると思います。タルト・デリシューさん、お店でいろんな経験をされているので「気」の使い方は充分にわかっているはずです。もう、無茶はしないでしょう。そういうお店、セルクルとかありますよね。

野球投手、若い選手は全力ストレート。息の長い選手は技巧派に変化していきます。タルト・デリシューさんは、いずれ後者になるとみています。ただ、しばらく時間が必要です。「気」がまだまだ足りません。もっともっと満たさないといけないと思います。

私はまったく仕事は違いますけど、自分が真っ白になるまで生きるつもりです。あしたのジョーになります。人生はたった一度です。一瞬の焚き火より、長い時間をかけて、周りを灯し、ゆっくり燃え尽きるローソクでもいいんじゃないですか?

通りすがりさんへ

コメントありがとうございました!

cachecacheさんの閉店、ほんとに残念でした。
オーナーさんの作るケーキも淹れたてのコーヒーもとても美味しく、
対応も穏やかで丁寧で・・・と、
心配りの行き届いた居心地のいいcafeでした。

閉店する前にもっと何度か行きたかったなーと思いましたが、
あの良さを知ることができただけでも良かった!!と思うことにしました。


かなえ先生の『タルト・デリシュー』も、
お菓子への情熱と心遣いがいーーっぱいのお店でしたね。
初めて食べたときの感動は忘れられません。
タルトのひとつ ひとつがとても丁寧に作られていて、
それぞれの素材の組み合わせと見た目の美しさは素晴らしかった。

とても大切にしていたお店を閉めなくてはならなかったときの
先生の気持ち、読んでいてとっても切なくなりました。


先生の作るお菓子はほんとうに美味しい。

だからなおさら、私たち生徒だけの先生ではますますもったいないと思うので、
いつかまたお店を出してくださいね。


その時はぜひとも、パチンコ屋の新装開店、
はたまた、テレフォンショッキングで見られるような
大っきい花輪をお祝いにどーーーっんと贈りますので!!

えっ、
いらない、ですか。
ケーキ屋には似合わない?

・・・・やはり。

おーぴまさん。
メールもいただき、また泣いてしまいました。ハハ・・・

カシュカシュさんはおーぴまさんもお気に入りでしたもんね。
ほんとに惜しいですが、確かにカシュカシュさんの味やサービスにふれることが出来ただけでもよかった、って私も思います。


店を閉めて私は1年ちょっと経ちますが、あまりにも命懸けがけで店を守ってきたので、燃え尽きてしまって・・・
その後どうするか、うまく切り替えられないものですね。


でも今、生徒さんのおーぴまさんにそんなふうに言っていただけることがしあわせです!
っていうか、『おーぴま』さんって呼び方じゃ、シリアスになれませんよ!(笑)
本当にありがとうございます♪


開店の時の花輪、八木田の移転オープンの際にいただいたことあるんですよ☆
びっくりしましたけど、あれはいいんです!相当目立つ!
え~ともしも私が店を再開するようなことがあれば、ゼヒお願いいたします(笑)

先生ごめんなさい。
自分の事で精一杯で、今日やっと先生のブログを読むことが出来ました(ρ_;)
そんな風に思っていらしたなんて、元気な先生を見ていて気がつかなかった。
でも思わない訳無いんだって、改めて思いました。
心の痛みは、そう簡単には消えないですよね。

でも先生の迷いも後悔も、人間としては当たり前なんじゃないかと思います。
40になったって、ちっとも不惑じゃない私もいますヾ(;´Д`A
今の仕事に疑問を持ちながら働いていて、
「本当はこんな事やりたくないんじゃないか?」「絶対体力が持たない!」「どう考えても向いてない!」という思いと、
「今の時代働けるなんてシアワセじゃないか」「仕事は覚えてしまえば簡単なんだから」「将来の為にこれだけ稼いでおかないと駄目じゃないか!」という思いを毎日かかえています。

私の愚痴になってしまってすいません\(;゚∇゚)/
言いたかったのはそういう事じゃなくて、
先生の進む道はまだまだ色々ある事。
まだ終わりじゃない事。
この先の未来が、まだ見えてないんじゃないかって言いたかったんです。

先生のお店、私もいつか見てみたい( ^ω^ )
でも今はその時じゃないのかもしれないですよね。
さなぎの時はきっと苦しいのかも。
そんな感じに思います。
って分かったような口きいてすみません。
明日の教室、ヨロシクお願いします!

まみぃさん、ありがとうございます。

すごくうれしいです(;;)
ゆっくりお返事書きたいので、少し待っててくださいね!

まみぃさん、そんなごめんなさい、だなんて~
お忙しい中ありがとうございます!

教室では生徒さんと接していると自然に元気になれるので、無理して隠してる訳じゃないんですよ。
生徒さんとやりとりしながらお菓子を作る時は、集中してて楽しいですしね^^
(たまにバテてるのがバレバレの時もありますが^^;)


そうですよね、迷いも後悔も当たり前ですよね。。。
店を閉めた喪失感が大きすぎて、どうしたらいいのかわからなくなっていたのですが、
これからまだ人生は続いていくってことですよね。

メールで言っていただいたように、二人目の子どもを死なせた訳ではなく、遠くの大学に行かせたか嫁に行ったか、って考えます。

それに今は、さなぎの時期かぁ・・・
若い時だけがさなぎなのではなく、
何度もそういう時期を繰り返して生きていくってことなんでしょうね。
まみぃさんいいこと言う!!

まみぃさんも、仕事に悩みながらも格闘する姿を
ダンナさんも娘さんたちもちゃんと見ててくれてますよね。
脱皮した時に見える景色がありますよ!

励ましていただいて、今もしあわせなんだな~と思いました。
ほんとにありがとうございます。
また来月の教室、よろしくお願いします♪


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